七色に輝く古の橋

泥川では8月23日が泊尾神社の本祭りだと言う。夜宮の朝には浜辺に二重の虹が、夕べには泊尾神社のある摺鉢山を真っ赤に燃やしました。本祭りの朝には、壊れて落ちてしまった泊尾橋の上に虹が架かりました。

網起しの掛け声も 既に
聞こえなくなって久しい浜なのに
真っ赤な太陽が昇り
潮騒だけが昔と変わらず聞こえ
銀鱗が躍り 鳥が行き交う

連絡船も途絶えてしまった浜に
七色に輝きを増しながら
夜宮の夕に 二重に虹が架かる
まるで 日本から祖先の霊が
泊尾神社の祭りに来れるようにと
その役目を果たすと 虹は
夕日に焼かれ 海に消える

どんよりと垂れ込めた雲を
真っ赤に染めながら
祭りの朝に 控えめに太陽が昇り
泥川の落ちた泊尾橋の上に
七色の虹に輝く橋を架ける
それは古の橋のように
祖先の霊が自由に行き交う

耳を澄ませば 祭りのざわめきが
潮騒に掻き消され
祭りの灯火は 闇に消えはすれど
思い出の中には
消えることの無い灯火があり
祭りのざわめきが残っていることだろう

決して消え去ることのない
人の心に染み込んだ昔の想い出が
泥川には 息づいている


2007年8月23日 泥川にて